無限大と無限小に関する最初の認識

無限大と無限小を考えるときの最初の第一歩がこれです。ここから無限大と無限小の考察が始まります。

無限大と無限小の第一歩

「無限に大きい数」は存在しない。なぜなら、どんな数を持ってきても、それに1を足せばより大きな数ができるから。

「無限に小さな数」は存在しない。なぜなら、どんな数を持ってきても、それを2で割ればより小さな数ができるから。

これが無限大と無限小を考える時に、必ず考えなければならない事です。

つまり、無限に大きい数を「無限大」、無限に小さい数を「無限小」と定義することはできないということです。なぜなら、そのような数は存在しないので。

しかしながら、無限小解析という研究分野があります。そこでは平気に無限大やら無限小が取り扱われています。無限大、無限小が存在しないの一言で片づけるには実にもったいない秘儀がここには潜んでいます。

無限大(無限小)への二つのアプローチ

無限大、無限小にアプローチする方法は下記の2つにわけることができます。それらは似ているようでも全然違う事なので、両者を混同しないように常に確認が必要です。

  • 既存の数の中で、無限大(無限小)に似たような数を部分的に無限大(無限小)とみなす。
  • 数の概念を拡張して、新しい無限大(無限小)という数を新たに作る。

両者の違いは、今ある数の概念の中で考えるか、その概念を超えた数を作って考えるかです。

具体的に前者が意味しているのは、ε-δ論法の事です。十分に大きな数、または十分に小さな数を無限大、無限小と思って論理展開していきます。無限大のような概念を見据えてはおりますが、論理展開している範囲では無限大も無限小もでてきません。

もうすこし、詳しくいうと、十分に大きな数より大きな数はすべて無限大とみなします。また、十分に小さな数より小さな数(ゼロや負の数は除きます)をすべて無限小とみなします。無限大(もしくは無限小)を範囲指定で抑え込み、範囲の中に(実際には存在しないのですが)無限大(無限小)があると思って論理展開します。

無限大や無限小を範囲でとらえるので、計算は不等式の性質を駆使するしかありません。解析学に不等式が切っても切れないのは、このせいです。

現在の解析の主流は前者です。不等式を駆使し、その範囲であたかも無限大や無限小を挟み込んでいるかのように数を取り扱います。

自然数は無限大を含んでいるか

無限大の概念の中で、最も根源的な概念をあげるとするのなら、自然数の中にそれをみることができます。これまで述べたように、そもそも無限大という数は存在しないので、もちろん無限大は自然数ではありません。しかし、自然数が無限集合であることは、一般的に受け入れられています。

そこで、自然数の集合から、有限な自然数をすべて取り除いたらどうなるかを考えます。あたりまえですが、自然数はすべて有限なので、有限な自然数を自然数の集合がから取り除くと、空集合になります。当たり前とは思いますが、あえて書きました。

というのは、集合論の中では無限が奇妙なふるまいをするからです。

自然数全体の集合を厳密に(論理展開できるように)定義することは難しいですが、感覚的に、自然数全体の集合から有限な自然数を取り除くと、(普通の自然数の定義ではなにも残らないですが、なにか残るとすると)無限大の自然数が残るはずです。有限でない自然数を含んだ「自然数全体という集合」を定義することができれば、無限大の自然数を手に入れることができます。

私は、有限でない自然数を含むような自然数全体の集合の定義を知らないので、このような話は宙をまってしまいますが、無限大の自然数が手に入れば、ここを突破口としていろいろな無限大、無限小の考察を展開していくことが可能になります。

まとめ

十分大きな数を無限大のように扱うことはできるが、それは無限大ではない。同様に、十分小さな数を無限小のように扱うことはできるが、それは無限小ではない。

現在は、補集合(不等式)で無限大や無限小を捕えて論理展開している。

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