このサイトで採用している用語や記号の説明です。
行列関連
この段落では大文字のアルファベット\(A,B,M\)で行列を表す。また小文字のアルファベットに二つの添え字を使って行列の成分を表している。
例えば、\(A=(a_{ij})\)と書いてある場合には、\(A\)は行列で、そのi行j列の成分は\(a_{ij}\)である事を意味する。
行列用語
対称行列
\(A={}^t\!A\)の関係式を満たす行列\(A\)の事。
使用例
\(\begin{pmatrix}50&2&3 \\ 2&60&4 \\ 3&4&70\end{pmatrix}\)は対象行列である。
転置行列
\(A=(a_{ij})\)の成分\(a_{ij}\)と\(a_{ji}\)を入れ替えた行列を行列\(A\)の転置行列と呼ぶ。\({}^t\!A\)と表す。
使用例
\(\begin{pmatrix}1&2&3 \\ 7&6&5 \\ 2&2&3\end{pmatrix}\)の転置行列は\(\begin{pmatrix}1&7&2 \\ 2&6&2 \\ 3&5&3\end{pmatrix}\)である。
メモ
(正方行列の場合は)転置することを対角線で折り返すなどという表現をすることもありますが、「転置する」とは、行と列を交換するという意味で捉えた方が本質をついていると言えます。
共役行列
\(A=(a_{ij})\)の成分\(a_{ij}\)を複素共役\(\overline{a_{ji}}\)に置き換えた行列を行列\(A\)の共役行列と呼ぶ。\(\overline{A}\)と表す。
使用例
\(\begin{pmatrix}1+4i&2-2i \\ 3+3i&4-i \end{pmatrix}\)の共役行列は\(\begin{pmatrix}1-4i&2+2i \\ 3-3i&4+i\end{pmatrix}\)である。
随伴行列
\(A=(a_{ij})\)の共役行列を転置した行列を随伴行列と呼ぶ。\({}^t\overline{A}\)と書くことができるが、\(A^*\)と書くこともある。
使用例
\(\begin{pmatrix}1+4i&2-2i \\ 3+3i&4-i \end{pmatrix}\)の随伴行列は\(\begin{pmatrix}1-4i&3-3i \\ 2+2i&4+i\end{pmatrix}\)である。
エルミート行列
\(A=A^*\)の関係式を満たす行列\(A\)の事。
随伴行列の別の呼び方。エルミート行列の事ではないので注意。
随伴行列の別の呼び方。エルミート行列の事ではないので注意。
随伴行列の別の呼び方。エルミート行列の事ではないので注意。
行列の成分
行列Aを構成している数の事を行列Aの成分と呼ぶ。i行j列に書かれた成分の事をij成分と呼ぶ。
使用例
行列\(\begin{pmatrix}2&3 \\ 2&4 \end{pmatrix}\)は、4つの成分から構成されていてその成分はそれぞれ\(2,3,2,4\)である。
1行1列の成分は2である(単に 1 1 成分は2であるとも言う)。
1行2列の成分は3である。
2行1列の成分は2である。
2行2列の成分は4である。
行列の行数
n行m列の行列Aに対してnの事を行列Aの行数と呼ぶ。
行列の列数
n行m列の行列Aに対してmの事を行列Aの列数と呼ぶ。
正方行列
行数と列数が同じ行列を正方行列と呼ぶ。
正方行列の行数(列数)の事を次数とも呼ぶ。
n次行列(えぬじぎょうれつ)
n行n列の行列をn次行列と呼ぶ。n次正方行列とも呼ぶ。ここでnは自然数。
行列記号
行列\(A\)の(複素)共役行列を\(\overline{A}\)と書く。
行列\(A\)の転置行列を\({}^t\!A\)と書く。
使用例
\(A=\begin{pmatrix}1 & 2 \\ 4 & 5 \end{pmatrix}\)とすると、\({}^t\!A=\begin{pmatrix}1 & 4 \\ 2 & 5 \end{pmatrix}\)
行列\(A\)の随伴行列を\(A^*\)と書く。
使用例
\(\begin{pmatrix}1+i & 2-i \\ 4+2i & 5-2i \end{pmatrix}^*=\begin{pmatrix}1-i & 4-2i \\ 2+i & 5+2i \end{pmatrix}\)