普通、数列というと、実数の列ということになりますが、ここでは有理数だけでできている数列を考えます。
項を有理数に制限したとはいえ、膨大な数の数列ができあがります。
この数列の集合をつかって、実数を定義することができます。
収束するとは
実数の定義に、収束するという概念はきっても切れません。
収束する数列が実数の正体だからです。
なかには、発散したり振動したりする数列もありますが、収束する数列はある実数にいくらでも近づきます。それが実数が連続であるという意味です。
連続とは、つながっているというイメージを持ちますが、実は違います。連続とは、収束するという意味です。
連続といっても、つながっていません。ある実数のとなりの実数がないことからこのことがわかります。つながっていれば、隣の実数がなければなりません。
0.333…と3が永遠と続く無限循環小数があります。この小数は、ある意味、3/10+3/100+3/1000+…といった分子が3で分母が10のべき数である級数とみなせます。
この級数は有理数(実数)1/3に収束しますが、その級数を数列に見立てた時、その数列は決して1/3になることはありません。
ただ、実数の世界では、限りなく近づく二つの数は同じとみなされてしまうのです。
1/3はたまたま有理数の例になりましたが、一般の無理数でも同じです。1.4.1.4…といった無限級数を表す無限小数はある実数にいくらでも近づくため、その実数と同じとみなされます。
0.999…は限りなく1に近づくため1と同じとみなされます。
これが実数です。
限りなく近づく物同士は同じとみなされてしまうのです。
時々、極限で「限りなく近づく」と「一致する」を同じ意味に捉えられる場合がありますが、実は違います。
0,0,0,…と全ての項が0である数列は、どの項も0に一致しています。広い意味で一致することは、限りなく近づいている場合の一部と扱われますから、この数列は0に収束するといいます。
1/2,1/3,1/4,…といった分子が1で、分母が1づつ増えていく数列は、0に一致することは決してありませんが、限りなく0に近づきます。したがって、0に収束するといいます。
限りなく近づくものは全て同じとみなすのが実数です。
ある実数に収束する数列は、それこそ無限にあります。近づき方もごまんとあります。
数列を使って実数を定義することがありますが、これから考えると、実数は相当丸め込まれていると考えることができます。