無限を考察する時に避けては通れないもの。
否定で定義する
反対も否定も逆という意味で似ていますね。
Aが成立するかしないか、どちらか一方しか起こりえないです。排中律と言われる性質ですがこれについては認めることにしましょう。
ある概念は否定で定義されます。
代表的なのは、無理数の定義です。
実数で有理数でないものが無理数だと定義されます。
無理数を直接定義しようとするとうまくいきませんが、有理数の定義とその否定を使うと簡単い定義できます。
同様に無限も有限の否定で定義すると簡単です。
有限でないものはすべて無限です。
無限が存在するかしないかという問題もありますが、無限が存在するということも認めましょう。
有限とは
自然数については知っているものとします。
ある自然数nが有限であるとは、nより大きい自然数が存在する場合を指すことにします。
こう定義すると、全ての自然数は有限です。
なぜなら、ある自然数より1大きい自然数が必ず存在するからです。
逆に、ある自然数xが無限だったと仮定しましょう。無限ということは、xより大きい自然数が存在しないことになりますが、どんな自然数も1を加えることができ、1を加えた自然数は元の自然数より大きくなりますから、この仮定は矛盾を引き起こします。
すなわち、どんな自然数も無限ではありません。
有限集合と無限集合
自然数の集合を考えます。
自然数の集合とは自然数がいくつか集まったものです。
自然数すべてを集めた集合を考えることができます。その集合を通常通り\(\mathbb{N}\)で表すことにします。
集合には個数(より一般的には濃度)という属性(プロパティ)があります。
自然数が集まった集合Sがあったとします。
この集合Sが有限であるとは、Sから要素をとりだしていくと、いつかは空集合にたどり着くことを言います。
Sが有限集合である場合は、Sから元を取り出す順番に関係なくかならず同じ回数で空集合になるので、有限集合には個数という属性が定義できるのです。
逆に、有限集合でない集合を無限集合といいます。
無限集合の定義に有限集合の否定が使われていますね。
このように、否定で無限は定義されます。
\(\mathbb{N}\)から自然数を取り出してみます。もちろん一度取り出した自然数は二度と取りだすことはできません。
この取り出す操作をくりかえすといつか空集合にたどりつくでしょうか?
たどり着くはずはありません。
したがって、\(\mathbb{N}\)は無限集合となります。
厳密にはこれらの事も定義に則って証明していく必要がありますが、つまらない形式的な証明はつまらないので省略していきます。
普通の感覚で考えてるだけです。
\(\mathbb{N}\)以外にも無限集合はたくさんあります。
どんだけたくさんあるかというと無限にあります。つまり無限集合は有限個ではありません。
Sが自然数からなる有限集合だったとしましょう。\(\mathbb{N}\)からSを除いた集合(補集合)を考えるとそれは無限集合です。
有限集合は無限にありますから、無限集合も無限にあることになります。
集合において否定を考えるということは、補集合を考えるということに対応します。