代数体Q(√2)の正体

\(\mathbb{Q}(\sqrt{2})\)についてのまとめ情報です。

\(\mathbb{Q}(\sqrt{2})\)は、実二次体です。

代数体\(\mathbb{Q}(\sqrt{2})\)

代数体\(\mathbb{Q}(\sqrt{2})\)は、\(\mathbb{Q}\)と\(\sqrt{2}\)で生成される代数体です。

\(\displaystyle \mathbb{Q}(\sqrt{2})\\=\mathbb{Q}+\mathbb{Q}\sqrt{2}\\=\{a+b\sqrt{2}|a,b \in \mathbb{Q}\}\)

ガロア群

\(\mathbb{Q}(\sqrt{2})\)は、\(\mathbb{Q}\)上のガロア拡大です。

ガロア群は、位数2の巡回群です。

ガロア群を\(\{1,σ\}\)とすると、

\(σ(a+b\sqrt{2})=a-b\sqrt{2}\)

となっています。

最小多項式

\(\sqrt{2}\)の最小多項式は、\(X^2-2\)です。

整数環\(\mathbb{Z}[\sqrt{2}]\)

\(\mathbb{Q}(\sqrt{2})\)の整数環は、\(\mathbb{Z}[\sqrt{2}]\)です。

\(\{1,\sqrt{2}\}\)はこの整数環\(\mathbb{Z}[\sqrt{2}]\)の基底(整数基)です。

この整数環は、単項イディアル整域です。

判別式

\(\displaystyle D= \begin{vmatrix}1&\sqrt{2}\\ 1&-\sqrt{2}\end{vmatrix}^2=8\)

\(\mathbb{Q}(\sqrt{2})\)の判別式は\(8=2^3\)です。

素数の分解

判別式を使って素数の分解状況がわかります。

\(p\)を素数とします。

\(p=2\)の場合

素数は分岐します。

すなわち、\(2=\sqrt{2}^2\)

\(p≡1,7 (mod 8)\)の場合

素数は分解します。

すなわち、\(p=p_1p_2\)となる\(\mathbb{Z}[\sqrt{2}]\)の二つの素数\(p_1,p_2\)が存在します。

\(a^2-2b^2=±p\)が整数解\(a,b\)を持つと言い換えることもできます。

素因数の例(p=17)

\(a^2-2b^2=17\)は、

\(a=5,b=2\)や

\(a=7,b=4\)を解に持ちます。

実は、解の組み合わせは無限にあります。

素因数の例(p=23)

\(a^2-2b^2=23\)は、

\(a=11,b=7\)や

\(a=19,b=13\)を解に持ちます。

解の組み合わせは無限にあります。

\(p≡3,5 (mod 8)\)の場合

p≡3または5(mod8)の有理素数はこの代数体では分解しません。

すなわち、この種類のpは、\(\mathbb{Z}[\sqrt{2}]\)の中でも素数です。

単数基準

\(\mathbb{Z}[\sqrt{2}]\)の基本単数εは、\(1+\sqrt{2}\)です。

すなわち、単数群は、

\(\{x|x=±ε^n,n \in \mathbb{N}\}\)となります。

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