行列とは、数字(文字式などの式や関数も含む)を長方形(マトリックス)状態に並べたものです。
長方形ですから、縦と横があります。
縦の事を列、横の事を行という事もあります。
何列あるのかを示すのが列数です。
何行あるのかを示すのが行数です。
行列の行数と列数の例
行と列を、うっかり取り違えてしまったり、勘違いしないよう注意しましょう。
下記は、2行4列の行列の例です。
\(\begin{pmatrix}5 & 8 & 3 & 1\\ 4 & 2 & 3 & 4\end{pmatrix}\)
この行列は2行の行列です。
また、4列の行列でもあります。
\(\begin{pmatrix}5 & 8 & 3 & 1\end{pmatrix}\)
このように1行だけの行列は、行ベクトルとも言います。
\(\begin{pmatrix}5 \\ 4\end{pmatrix}\)
またこのように、1列だけの行列は、列ベクトルともいいます。
行列は、行ベクトルが縦に並んだものと考えることもできます。
例えば、
\(\begin{pmatrix}5 & 8 & 3 & 1\\ 4 & 2 & 3 & 4\end{pmatrix}\)
は、
2つの行ベクトル、
\(\begin{pmatrix}5 & 8 & 3 & 1\end{pmatrix}\)と
\(\begin{pmatrix}4 & 2 & 3 & 4\end{pmatrix}\)が
縦方向に並んだ行列と見なせます。
下記のような書き方をすることはまず、ありませんが、
\(\begin{pmatrix}(5 & 8 & 3 & 1)\\ (4 & 2 & 3 & 4)\end{pmatrix}\)
という風に行列を捕える方法があるということです。
行列を行ベクトルを並べたものとみなして考える事を、行列を行に分解するといいます。
同様の考えで、行列を列ベクトルが並んだもの、すなわち列で分解してみる見方もあります。
\(\begin{pmatrix}\left({\begin{array}{c} 5 \\ 4 \end{array}}\right) &
\left({\begin{array}{c} 8 \\ 2 \end{array}}\right) &
\left({\begin{array}{c} 3 \\ 3 \end{array}}\right) &
\left({\begin{array}{c} 1 \\ 4 \end{array}}\right)
\end{pmatrix}\)
行列の掛け算は、行分解と列分解の積となっている
行列の足し算(引き算)は対応する成分毎に、和や差をとって計算しますが、行列の掛け算は、行列の成分毎の掛け算ではなりません。
行列の掛け算するときは、行分解と列分解を行って内積をとります。
かけられる行列は行分解、かけるほうの行列は列分解そて行列の掛け算(積)を計算します。
行列の積のイメージは、こんな感じです。
\(\begin{pmatrix}ー ー\\ ー ー \\ ー ー \end{pmatrix} \begin{pmatrix}| & | & | \\ | & | & |\end{pmatrix} = \begin{pmatrix}\dashv & \dashv & \dashv \\ \dashv & \dashv & \dashv \\ \dashv & \dashv & \dashv\end{pmatrix}\)
ここで、
\( ー ー \) は行ベクトル
\( \begin{array}{c} | \\ |\end{array} \) は列ベクトル
\( \dashv \) は、行ベクトルと列ベクトルの内積
を表しています。
行列Aと行列Bの積ABを考えるとき、行列Aを行分解、行列Bを列分解して考えます。
積BAを考えるときは、行列Bを行分解、行列Aを列分解して考えます。
積ABと積BAをよくみると、ABとBAが同じになることは限らないことがわかると思います。
この事実を、「行列の積(掛け算)は交換の法則を満たしていない」と言います。